おはようございます、beataです。
ところで、マーケティングの現場で必ずと言っていいほど耳にする『ターゲットを絞る』という言葉がありますよね。
この言葉を聞いたとき、皆さんはどのようなイメージを持たれるでしょうか。
「ターゲットを小さく絞ってしまうと、買ってくれるお客さんが減ってしまうのではないか」
売上を伸ばすためには、むしろ対象を広く浅く取った方が安全なのではないか、と不安に感じる方も少なくありません。
しかし、本当の意味での『ターゲットを絞る』とは、顧客を排除することではありません。
それは、自社の商品やサービスに込めた“本質的な役割”を専門化し、再定義することなのです。
たとえば、ある地方の小さな塗料メーカー工場での話です。
彼らは長年、建築現場や日曜大工向けに「水に強くて剥がれにくい塗装塗料」を真面目に作り、販売していました。
しかし、競合他社との価格競争に巻き込まれ、売上は伸び悩んでいたのです。
そんなある日、思いがけない顧客からまとまった注文が入りました。
それは、個人で熱帯魚や水草のアクアリウムを楽しんでいるマニアの方々でした。
不思議に思った社長が調べてみると、彼らはその塗料を「水槽内のレイアウト用流木や岩の補強」に使っていたのです。
魚や水草に毒性がなく、水中でも完全に劣化しない安全な塗料として、マニアの間で口コミが広がっていたのでした。
塗料メーカー側は「建築用の塗装材」として売っていましたが、顧客は「アクアリウムの安全な防水接着剤」として価値を感じていたのです。
ここに、ビジネスの視点を一変させる重要な気づきがあります。
僕たちが「これが自社商品の正しい使い方だ」と思い込んでいる常識は、時に広大な市場のほんの一部しか映していないのかもしれません。
ターゲットを絞るとは、市場を狭める作業ではなく、顧客の深くて尖った悩みに『光を当てる作業』です。
特定の顧客層だけが感じているマニアックな使い方や強いこだわりに視点を合わせた瞬間、商品はその他大勢の『普通の品』から、代わりのきかない『唯一無二の存在』へと変貌します。
売上が停滞したとき、無理に新しい商品を開発したり、広告費を増やして広く告知しようとする前に、ぜひ一度「自社の商品を、変わった形で愛用してくれているマイノリティなお客さん」を探してみてください。
彼らが感じている価値の中にこそ、事業を爆発的に跳躍させる次の扉が隠されているはずです。
まずは今日、自社の顧客データやアンケートの中で、少し変わった購入理由を残している『たった一人のお客さん』の声に耳を傾けてみませんか。
静かな問いの中にこそ、次の時代を開く大きな響きが眠っています。


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