中小企業が追いかけるべきもの

経営のはなし

おはようございます、beataです。

今日は、ビジネスにおける『数の呪縛』について、ご一緒に、静かに深めていきたいと思います。

私たちはつい、売上や客数といった、目に見える分かりやすい数字ばかりを、追いかけてしまいますよね。

あるいは、みんな大企業のやり方を見すぎて、参考にしすぎているのかもしれません 。

しかし、中小企業が客数で勝負するビジネスモデルを選ぶと、最終的には十中八九、失敗してしまうと言われています 。

なぜなら、そこに必ず大企業が参入してきて、圧倒的な資本量の勝負に、持ち込まれてしまうからです 。

自分とキャラクターの違う人が決めた、相手の強みが活きるルールで戦っても、けっして勝てるはずがありません 。

ではなぜ、私たちは『数』を求めてしまうのでしょうか。

それは、多くのお客様の姿を見ることで、自分自身の不安をかき消し、一時的な安心感を得ようとする、そんな心の働きが隠れているのかもしれません。

ここで、10億円の負債を抱えた瀕死の状態から、劇的に再生を果たした、ある旅館の事例をご紹介します 。

この旅館はかつて、団体客をメインに営業していました 。

しかし、2000年以降のトレンドの変化とともに、目にみえて、団体客の利用が減っていったそうです。

一気に客数を増やせるメリットがある一方で、一瞬で客数が減ってしまうのが、団体客の恐ろしいリスクなのです 。

客数をなんとか増やそうと、この旅館は値下げに踏み切りました 。

15,000円だった宿泊料を、14,000円、13,000円と下げ、最終的には3分の2である9,800円まで下げたそうです 。

それでも客足は戻らず、売っても赤字になるという、薄利多売モデルの最悪の状態に陥ってしまいました。

売上を増やそうとすればするほど、赤字が拡大していくという、とても苦しい悲鳴が聞こえてきそうです 。

この絶望的な状況から、彼らはどうやって劇的な回復を遂げたのでしょうか。

その答えは、客数を追うことを手放し、『客単価を上げること』へと経営改革を行ったのです 。

9,800円だった価格を、3倍以上の35,000円からへと、大きく引き上げました 。

そのために、客室に化粧室を設けたり、コンシェルジュデスクを用意したりと、丁寧な付加価値づくりを行いました 。

これは、お客さんとしての体験や、ヒアリングした不満を、うまく汲み取った結果なのだと思います 。

日帰り客向けのメニューも、2,000円ほどから大きく引き上げ、宿泊料も10,000円、25,000円、35,000円と、段階的に単価を上げていったそうです。

結果として、客室稼働率は10%から80%へ 、社員の給料は300万円から400万円へ 、離職率は33%から3%へと、驚くべき変化を遂げました。

もともと客室が多くない旅館だったこともあり、経営状況が劇的に改善したのです 。

中小企業の場合、客数よりも客単価を追いかけるほうが、劇的に経営がよくなるケースがほとんどなのです 。

逆に、少ない客数で回るビジネスモデルにすることで、業績は劇的によくなります 。

ここで、ひとつの透明なレンズを、あなたに手渡したいと思います。

『問題だと思っていたことは、視点を変えれば、新しい価値の入り口になる。』

単価を上げることは、怖いことかもしれません 。

しかしそれは、高いものを無理に売りつけることではないのです 。

目の前のお客様の隠れたニーズを丁寧にすくい上げ、それに合わせた商品開発を行っていくことなのです。

自分を成長させて目の前の問題を解決するのではなく、他のお客さんの数で穴埋めをしようとすると、ビジネスはどんどん難しくなります 。

明日から、少しだけ視点を変えてみませんか。

新しいお客様を「10人」探す前に、今、目の前にいる「1人」のお客様の不満や声に、そっと耳を澄ませてみてください。

お客さんに今より喜んでもらって、業績がよくならないわけがありませんから 。

本当に大切な答えは、いつも静かな余白の中に隠れています。

『数は追いかけるものではなく、深さのあとに静かに残るものです。』

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